椎葉村では民謡が生きています。生活のいろいろな場面で歌われています。
椎葉の歌は、四季の巡りと共にあり、その時その時の人々の心を表しています。「ひえつき節」をはじめ、「駄賃つけ節」「春節」「秋節」など、四季の暮らしに彩られた、数々の素晴らしい民謡が、歌い継がれています。なかでも「ひえつき節」は、全国的に有名で、広く愛唱されています。

「ひえつき節」

この唄は、文字通りヒエを搗く際に、歌われた労作唄です。冬になるとどこの家でもヒエは搗いたが、何か祝い事でもあるような家は、たくさんのヒエを搗く必要があり、大勢の人に頼み6人1組で搗いた。調子を合わせ威勢よく搗き、歌い手たちはその横でこの唄を賑やかに唄いはやして景気をつけた。この大がかりなヒエつきの場は、若い男女が出会う場にもなっていたそうです。
村内の尾八重地区が、ひえつき節が始まったと言われ「ひえつき節発祥の地」の石碑が建てられています。

「駄賃つけ節」

駄賃つけとは、馬の背に荷物をつけて町に行き、それを売り、また町の物を馬の背につけて帰ってくることで駄賃をもらう仕事です。昔は、どの家でも馬の1〜3頭ぐらいは飼っていて、炭・茶・椎茸など山の産物を6貫俵にして4俵ずつ積んで町へ行き、町から塩・醤油など生活物資を積んで帰ってきていた。その時に歌われた歌が、「駄賃つけ節」です。
駄賃は、行き荷・戻り荷合わせて2円位。現在に換金すれば約2万円ぐらいになるそうです。
集落の位置によって、行く町は様々ですが、いずれも峠越えの道を歩いて物資を運ぶ厳しい労働であった。

「春節」「秋節」

椎葉の民謡の中でも最も古い歌だと言われています。山の神に春や秋が来たことを知らせ、季節が順当に巡り来ることを願う歌です。山に仕事に行くときも、人が集まって酒を飲んだりする時も、あらゆる機会に大きい声でこの歌を歌っていたそうです。